2021年 12月 16日
シリアの孤児たちのものがたり1虐待・貧困そしてホームレスの少女をすくったものは?
湘南・鎌倉年賀状プロジェクトで支援している孤児たちの情報を田村雅文さんから伝えていただきました。
年賀状の申し込みはこちらから
http://teambeko.html.xdomain.jp/team_beko/postcard2.html
少女ファティンの話:孤児院にいる14歳の少女ファティン。今はスポーツのコーチになるという夢を実現するために日々前進している彼女の幼少からの話を是非皆さんに聞いて頂ければと思います。
********
私の幼少期の記憶は虐待、極度の貧困、ホームレスで路上を彷徨ったことしかありません。両親は無知で職を持っておらず、私は9人兄弟の6番目の娘として貧しい家庭で育ちました。
気がついた時には路上で物乞いをしており、お金や食べ物のくずを求めて誰かれ構わず追いかけていました。道から道へ、公園から公園へ、兄弟と一緒にお金を集めるためさまよい歩き、アルコール依存症の父の機嫌を損ねないようにする日々でした。父はこのようにお金を巻き上げることしか知らず、子供を産むために女性と結婚してすぐ捨てるような人でした。
私には、生まれた時から多くの子どもが持っているはずの権利さえありませんでした。出生時の届け出はもちろん、お腹を満たす十分な食事も与えられず、学校とはどんな場所なのかを知る機会もなく、また人から愛され、かかわりを持つというのがどういうことか、安全に生きるとは何か、全く知ることはありませんでした。特に母が去り、私たちは恐怖と欠乏、そして喪失感に満ちた世界に放り出されました。
年月が過ぎてゆき、私は正しい行動に導かれることなく成長していきました。目の前にある世界にルールはありません。私は嘘や盗みを働き、フレイム・グルーと呼ばれる接着剤を吸引することにハマって(中毒になって)いました1。このような毎日を過ごし半崩壊した家に疲れ果てて帰る日々を過ごしていました(接着剤を嗅ぐことは、すぐに「ハイ」になれるという理由で使われることがありますが、深刻な健康被害をもたらす可能性のある吸入剤乱用の一種と言われています。しかし、他の薬物乱用と同様に、吸入剤の乱用は依存症につながる可能性があります。)。
私は自分が集めたお金など全てを必ず怒る父に渡さなければなりません。父から理由もなく殴られ、夜になると疲れ果てて意識を失ったように眠ります。そして翌日目を覚ますと、物乞いをして不幸しかない生活が無限に続いていました。
ここに転機が訪れます。6歳の時でした。私の人生はBee Waysとの出会いを通じて輝くようになりました。それはまるで腐った土の中で育った枯れた花を摘み取り、安全で愛情に満ちた環境に再び植えるような出来事でした。
始めは住む場所、食べるもの、そして着るものを与えてもらいました。その後、学校に行って読み書きを学び、治療や心理的(精神的)サポートを受けながら、物事の分別を判断したり、また自身で問題解決を行う訓練、更には様々な文化活動などにも参加しました。また、手工芸の技術を身に付けることを通じて自分の能力を豊かにし、少しずつ変わっていきました。
私の名前は「ファティン」といいます。14歳になりました。無知で読み書きのできなかった私は自分の努力で中学校1年生まで進学しました。私は今、スポーツのコーチになるという夢を実現するために日々前進しています。それは、スポーツが私が感じていたプレッシャーや苦しみを和らげてくれたからです。現在はBee Ways内のスポーツコーチの手伝いを行っており、友達のトレーニングやダンスショーに向けてのモチベーション作りなどを支援してます。そして私たちはいずれ様々なイベントや舞台演劇での披露を目指しています。
私はもう過去を振り返りません。これまで達成したことを誇りに思い、これからも学び、働くことで明るい未来を築いていきたいと思います。
by team-beko
| 2021-12-16 14:24
| 医療支援